一人ひとりが表面処理加工のプロとして誇りを持ち、業界をリードし続ける会社でありたい旭真空株式会社は「真空蒸着」に強みを持ち、時計部品や弱電機器、照明器具などさまざまな製品に表面処理加工を施しています。高い技術力が認められ国内のトップメーカーとも直接取引する同社は、今、業務のデジタル化を進めているところです。その背景には、「お客様にとっての一番」であることを目指し続ける、プロとしての姿勢があります。「この製品を世に出していいのか」を各々が考える当社は元々、商社経由でのお取引が主でしたが、近年は小糸製作所様やキヤノン電子様、バンダイナムコクラフト様といった国内のトップメーカーと直接お取引をさせていただいています。それが、社員たちの自信にもつながり、一人ひとりが「やらされている」のではなく、「自分たちでやっていく」という意識を持っています。「技術力」こそが私たちの強みです。お客様にとって「旭真空にお願いしたら何とかしてくれるだろう」と言われるくらいの存在でいることを目指しています。それを表す一つの特徴として、当社は不良品を出さない前提で仕事をするのが当たり前だという考えから、品質管理のスタッフを1人しか置いていません。「メーカーの品質基準を満たしているからOK」にとどまらず、「塗装のプロとしてこれを世に出していいのか?」「心のどこかで妥協をしていないか?」という点を製造現場が常に意識してこそ、良い製品を届けることができると思うのです。実際2025年1月現在、大きなクレームは稼働日ベースで2,300日以上届いていません。責任感を持って仕事をする意識が個々に根付いている証だと思います。部署・個人の頑張りを社内全体に共有する当社では社員の成果を全体に共有しており、それが社内の士気を高めることにつながっていると感じます。例えば誰かが新しい技術を開発したとき、朝礼で「●●さんがこういう塗装・蒸着技術をつくったのでぜひ触ってみてください」と伝え、その技術に社員全員が触れる機会をつくっています。技術職以外の社員が「うちの会社ではこんなきれいな塗装・蒸着をやっているんだ」と知るきっかけになりますし、技術職にとっても途中経過で仲間からねぎらいの言葉をかけてもらったり、他部署からの意見を聞けたりすることがモチベーションにつながっているようです。当社では多くの女性社員が活躍しています。これまで扱っていた部品のほとんどは車やホビーなど男性が好みやすい分野でしたが、最近はご縁があり、美容商品のパッケージを扱わせていただくことになりました。自分の会社で作っているものがそのまま世の中で使われている。それが女性社員にとって仕事の喜びとなり、前以上に会社の技術に誇りを感じてくれているように思います。今後をリードするために現場に寄り添いながらデジタル化を進める現在、旭真空独自のスクラッチERP(Enterprise Resources Planning)を開発中で、3年の開発期間のうち2年が経過しました。今年2025年4月を目安に在庫管理システムから運用を始めて、年内に全データの紐づけが完了し基幹業務を一元管理できるようになる予定です。このシステムの大きな目的は「安心・安全の見える化」です。データを可視化したうえで作業効率と正確性をあげれば信頼・信用の裏付けができますから、お客様も安心して当社に発注することができます。ERPを導入している中小企業はまだ少ないですし、傍からすると当社の身の丈に合っていないかもしれません。しかし、これからERPは当たり前になっていくでしょうし、今後この業界をリードしていくためには、先を見て改革を進めることが必要だと思うのです。とはいえ現場からすると、慣れていたアナログ作業がデジタルに変わるのは負担ですから、抵抗が生まれるのは当然のことです。そのため一気にすべてを変えるのではなく、5年かけてデジタルに慣れるような計画を進めています。最初は職場内のWi-Fi環境を充実させて自分たちのスマホに接続してもらうところから始めました。そこからタブレットを導入し無料版のビジネスツールを操作してもらったりと、10度の小さな変化を18回繰り返して180度の変化を生むようなイメージで進めてきた結果、実際に抵抗がなくなってきているように感じます。競う相手は他人ではなく昨日の自分働きやすい環境をつくるためには、社員が問題を抱えてから対処するのではなく、事前にそれを防ぐことが必要ですから、日ごろの声掛けや会話を大切にしています。最近はLINEやSMSのようにテキストベースのほうが本音を言いやすい人が増えているとも感じるので、新人や若手には節目節目で私からLINEを送ることもあります。実は、最近メンタルヘルス検定の勉強を始めました。日々社員と接している中で、会社として心のケアができるようになれば、みんなが今以上に安心して仕事ができるのではと思うことがあったのです。まずは自分が学んで、それを各リーダーに教育しながら体制を整えていきます。これは新入社員のみんなにかならず伝えているのですが、自分の成長のために競うのは、あくまでも自分自身です。周りと比べるのではなく、昨日の自分と比べて今の自分がどうなっているかということを考える。そういった意識を持つほうが成長を実感しやすいし、気持ちも前向きになれて、結果、より良いサービスの提供につながると思います。一人ひとりが成長しやすい環境を築くのは、私をはじめ経営層の仕事です。今後もみんなで進化し続けながら、お客様にとっての一番を追求します。