社員教育で好循環を生み出す。約16年間の社員教育で売上約3倍を実現橋梁付属物の設計・製造・施工を手がける「橋梁技建株式会社」。社員教育に力を入れ、業績を向上させてきました。「社員教育は成果が出るまで時間がかかるが、他社が真似できない強みを生み出す」と語る代表の杉本氏に、社員教育にかける思いを語っていただきました。月刊『理念と経営』を活用した勉強会で、思考の質を向上当社が社員教育に力を入れ始めたきっかけは、2008年に起こした事故です。当時私は代表に就任して1か月経った頃で、事故の被害者とご家族への謝罪や関連各所への説明で奔走し、「どうしてこんなことが起こったのだろう」「二度と事故を起こさないために、どうしたら良いだろう」と考え抜きました。そこで出た結論が、社員教育を通じて、社員の違和感に気づく力や広い視野を育むことでした。社員教育の一環として始めたのが、月刊『理念と経営』を活用した「ともに学ぶ会」です。月刊経営誌『理念と経営』を用いて他社の事例を学び、自社に置き換えて考えます。社員は『理念と経営』を読み込み、私が考えた事前課題の設問表に記述して、月一回の「ともに学ぶ会」に参加します。このようにインプットとアウトプットをセットにすることで、より思考力が鍛えられます。この会の目的の一つは、他業界から学ぶことです。例えば、『理念と経営』でサービス業の接客からお客様に丁寧に接することを学んだ場合、自社の業務に置き換えて、取引先に対して笑顔で挨拶したり、丁寧に説明したりできます。さらに、グループディスカッションで仲間の考え方を聞くことで相互理解が深め、コミュニケーション能力を高めるのも目的です。コミュニケーションは業績にも影響し、コミュニケーションが上手くいっている企業はそうでない企業と比べて業績が良いというデータもあります。社員が成長すると、お客様や社会に大きく貢献するようになる社員の成長の度合いや、社員教育と業績の関連性は計測できませんが、社員教育に力を入れて約16年で売上が3倍近くになりました。業績の向上はお客様からの支持の拡大、または社会への貢献と言い換えられます。つまり、昔と比べて社員たちが成長し、お客様や社会により大きく貢献するようになったと捉えられるでしょう。社員の成長は、お客様や社会のためだけではなく、社員自身が幸せに生きることにもつながると考えます。私はよく社員に「あなたたちを幸せにすることはできないけれど、あなたたちが幸せになる可能性は提供できるかもしれない。そのチャンスを上手く活用するかはあなたたち次第です」と伝えているんです。例えば「ともに学ぶ会」の事前設問で、「5、10、15、20年後の自分の目標」を書いてもらっています。目標を持つと、やりがいを持てたり、今やるべきことがわかったりするからです。社員教育は時間がかかるが、他社が真似できない強みをつくる正直に言うと、社員教育には労力がかかり、しかもすぐには効果が出ません。私も毎月の事前設問を考えるのに、かなりの時間を費やしているわけです。それでも社員教育に力を入れているのは、長い期間で効果が出るものは、他社が真似してもすぐには追い抜けないほどの強みになるからです。時間をかけて出た成果は他社との差別化になり、業績に反映され、社員にインセンティブや昇給という形で還元され、関係者に配当金を渡せることにもつながっていきます。それで良い結果を享受できた社員が「もっと頑張ろう」となり、少しずつ好循環が作られていくのです。さらに当社では「ともに学ぶ会」以外にも、ITリテラシーやマネーリテラシーを高める勉強会も行っています。これらの勉強会は業績の向上が目的ではなく、社員が幸せに生きることが目的です。おこがましい話かもしれませんが、私は社員に充実した人生を歩んでもらいたいと思っています。そのために会社としてできるのは、知識を提供することです。物事を知らないと人生でさまざまな障壁を生み出してしまいます。そうならないように、ITリテラシーやマネーリテラシーを高める勉強会を行ってるのです。100年続く会社を目指して、武器を揃える現在の橋梁技建は私がいなくても会社が回るほど、社員が成長してくれました。100年続く会社にするために、私はあと3年ほどで引退して、代表の座を譲ろうと考えています。残された時間の中で私にできるのは、他社に負けないための武器を揃えることです。具体的に言うと、若手人材を増やすことだと考えます。この業界は社員の平均年齢が高いのですが、もし若手が入社してくれれば、5、10年後に会社を引っ張っていく存在になり、他社に負けない良いサービスを提供し続けられるでしょう。加えて、2024年3月にベトナムで法人を設立し、これから拡大していこうと考えています。ベトナムで法人を設立したのは、現在当社で働くベトナム人の社員が帰国したいと思った時に、安心して働き続けてもらいたいからです。もしベトナムに拠点がなければ、当社は優秀な社員を手放し、損失となるでしょう。該当の社員たちも、今後の目標に「橋梁技建のベトナム支社で働くこと」を掲げてくれています。社員の自己実現の手助けができているのは、とても嬉しいことです。【企業情報】企業名:橋梁技建株式会社代表者名:杉本 博樹本社住所:〒481-0045 愛知県北名古屋市中之郷栗島87番地企業URL:https://www.kyoryogiken.co.jp/