現場で活躍中の女性社員も 建設業界のイメージを変えるパイオニアを目指す株式会社タイシン工業は、エアコンの新設工事からクリーニング、修理、法定点検まで、空調設備に関する幅広いサービスを提供しています。目指すのは「新3K(かっこいい・稼げる・感謝される)」。社員視点で環境づくりを進め、従来の建設業界が持つ3K(きつい・汚い・危険)というイメージを変えることを目指しています。異業界出身者が中心だからこそ既存の枠にとらわれない当社は20代から30代の社員が中心で、その若さゆえの機動力とパワーが大きな強みとなっています。ほとんどのメンバーが異業界からの転職ですが、だからこそ柔軟な発想が会社づくりに活かされていると感じます。そういう意味で当社は、一般的にイメージされる工事会社とは異なる部分が多いかもしれません。入社後の教育としては現場での実践がベースで、すぐに先輩社員に同行してもらいます。そのとき、先輩が丁寧にフォローできるよう必ず人員を一人追加することにしていて、「見て覚えろ」「一回で覚えろ」といった指導はしません。また、質より量を重視しており、入社から1年で職長を任せられるスキルを身に付けることを目標とします。量をこなすことが、技術を身に付けるための一番の近道だと考えているからです。現在は作業の内容やポイントをまとめた教育動画をつくっており、個々のタイミングで学習ができる環境を整えています。女性社員が活躍するカギは「適材適所」採用についてはありがたいことに応募が定期的にあり、面接待ちをしていただいている方もいます。人材獲得に大きく影響しているのがInstagram、TikTokをはじめとしたSNSでの投稿です。2022年からリクルート用に運用していて、日ごろの仕事の様子はもちろん、「#空調女子」として現場で活躍する女性社員のこともありのまま発信しています。現在、現場のポジションでは職人2名・施工管理1名の女性社員が在籍していますが、みんな未経験からのスタートです。女性社員の働きやすさという点で重視しているのが、適材適所への配置です。例えば工事中に材料の搬入が始まったら、力に自信のある男性社員が搬入作業に移り、女性は現場で力のいらない作業を続ける、といったイメージです。力を使わない作業に集中することで特定のスキルが尖っていけば、その社員ならではの「強み」になるとも考えています。「新しく来た人を大切にする」。当社にはそういった文化が根付いているように感じます。現場が終わっても作業の練習がしたい新人がいれば、それに付き合う先輩がいるような職場ですが、4年ほど前までは、今のような良い雰囲気ではありませんでした。その頃は私も現場に出て社員に直接指導していたのですが、厳しい指導が良いと思っていた部分もあり、それが原因で退職者が続いてしまったことがありました。周囲の社員も「次は自分が叱られるかもしれない」と不安を感じる。そんな悪循環を生んでいたことを私自身とても反省し、これではいけないと自分の意識と組織体制を変えることにしました。仕組み化を進め、社員が自ら成長できる環境を過去の経験から、トップが直接関与しないほうが社員が伸び伸び働けると考えていて、当社の組織体制として、私はほとんど現場に出ないようにしています。打ち合わせにも参加せず、私からの情報共有や現場からの意見の吸い上げは、課長経由で行うという仕組みです。こういった「仕組みに頼れる組織づくり」に今後も注力していきます。社員の働きやすさを高めたいという点はもちろん、業務の属人化を防ぎ、誰かが欠けても回る体制をつくることが企業成長において重要だと考えるからです。最近は外国籍人材も増え、会社として多様なメンバーが増えてきましたから、仕組み化の重要性を一層感じています。現在取り組んでいることとしては、例えば人事評価の再構築。恣意的な評価ではなく、「なぜ自分の給料が上がったのか」「自分のどんなところが評価されているのか」が数字で分かるような制度をつくっています。他に、私個人としてYouTubeやブログで情報発信をしているのもひとつです。社長が情報発信をしていればおのずと興味を持ってくれるのではないかと思っていて、社員が自ら学び、成長の糧にしてくれたら嬉しいです。「下請け」という言葉は使わない社員の生活や人生に焦点をあてて学びを提供することが、末永く働いてもらえる動機の一つになると考えています。その一端として、社会保険や税金の知識などを動画にまとめ、社員が気軽に視聴できるようにしています。技術面は現場で成長しますから、私としては社会人として必要な知識を身に付けられる環境を整えてあげたいです。動画の視聴は強制ではありませんが、たくさん見て勉強した社員には「セルフマネジメント大賞」として月に一度表彰状を渡すなど、頑張りや成長を会社として積極的に応援しています。社会保険や税金の情報は、仕事に役立つ情報とともに公式LINEで協力会社さんにもお届けしています。今後、建設業界はますます人材確保に悩まされることになるでしょう。そんな中で、協力会社さんの存在は私たちにとって本当に大きな助けです。社員には「『下請け』という言葉はやめよう」と伝えています。私たちと協力会社さんの間に上も下もありません。当社の仕事をやってくださっているのです。これからも協力会社さんに何をご提供できるかを考え続け、「タイシン工業と今後も一緒に仕事がしたい」と思ってもらえるような存在になることを目指します。